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再雇用の働き方に迷ったときに考える4つの道

定年後に再雇用や嘱託として働きながら、この先の働き方をどう考えるか迷っている方に向けた記事です。給与と役割が変わるのはなぜなのかを、公的な統計から仕組みとして整理します。そのうえで、再雇用を続ける道から社外で顧問として関わる道まで、選べる4つの道を並べて比べます。

再雇用とはどういう仕組みか

再雇用とは、定年でいったん雇用契約が終わり、あらためて契約を結び直して同じ会社で働き続ける仕組みです。高年齢者雇用安定法が定める継続雇用制度の代表的な形で、多くの場合は1年ごとに更新する有期契約になります。定年前の契約がそのまま延びるのではなく、条件を一から決め直す点が、勤務延長や定年の引上げとの大きな違いです。

厚生労働省の令和7年高年齢者雇用状況等報告によると、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%です。その内訳は、継続雇用制度の導入が65.1%、定年の引上げが31.0%、定年制の廃止が3.9%となっています。定年年齢では、60歳とする企業が62.2%で最も多く、65歳とする企業は27.2%です。つまり60歳でいったん区切りを迎え、そこから継続雇用へ移る形が、今も最も一般的な進み方だということになります。この集計は、常時雇用する労働者が21人以上の企業237,739社の令和7年6月1日時点の状況をまとめたものです。

労働政策研究・研修機構が2019年に実施した60代の雇用・生活調査では、定年到達直後に働いていた男性の雇用形態は、正社員が37.0%、嘱託が26.1%、契約社員が18.4%、パート・アルバイトが9.3%でした。嘱託と呼ぶか契約社員と呼ぶかは会社ごとの呼び方の違いで、法律に嘱託という区分があるわけではありません。名称は違っても、期間の定めのある契約を更新しながら働く形に入る点は共通しています。

給与と役割が変わる構造的な理由

同じ調査では、定年後に再雇用などで雇用が継続された男性のうち、賃金額が減ったと答えた方が89.8%にのぼりました。減少幅は41%から50%が25.5%で最も多く、4割以上減ったと答えた方を合わせると48.7%になります。賃金額が余り変化していないと答えた方は9.0%で、増えたと答えた方は該当がありませんでした。

定年前と比べた減少幅割合
1%から10%1.1%
11%から20%4.5%
21%から30%13.0%
31%から40%19.6%
41%から50%25.5%
51%から60%14.0%
61%から70%7.8%
71%以上1.4%
定年後に再雇用などで雇用が継続された男性の賃金の減少幅(2019年調査。回答者全体に対する割合で、ほかに減少幅の無回答が2.9%)

賃金の水準そのものも、この年代を境に下がります。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、男性の所定内給与額は55歳から59歳の44万5,600円がピークで、60歳から64歳では35万8,500円、65歳から69歳では30万4,300円となっています。これは年齢階級ごとの平均であり、同じ方の給与の推移を追ったものではありませんが、60歳を境に水準が変わる形がはっきり表れています。

一方で、仕事の中身は大きく変わっていません。同じ60代の雇用・生活調査で、定年年齢または60歳に到達した際に仕事内容が変化したかを尋ねた設問では、男性の50.4%が変わっていないと答え、25.9%が同じ分野の業務ではあるが責任の重さが変わったと答えています。仕事は続いているのに条件だけが動く。この食い違いが、再雇用で働く方が感じる引っかかりの正体です。

制度そのものが、賃金の低下を前提に組み立てられている面もあります。雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金は、被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の方について、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下した場合に支給されるものです。2025年4月1日以降に60歳に達する方は、60歳時点の64%以下に低下した場合に各月の賃金の10%相当額が支給されます。低下を補う給付が用意されていること自体が、この変化が個別の事情ではなく仕組みとして起きていることを示しています。

意欲が下がるのは自然な反応です

60代の雇用・生活調査で、働いている60代の方に仕事の満足度を尋ねた結果は、大いに満足しているが14.6%、やや満足しているが22.7%、普通が47.2%、やや不満であるが11.2%、大いに不満であるが3.4%でした。積極的に満足していると答えた方は4割弱で、半数近くが普通に集まっています。強い不満があるわけではないものの、手応えも薄いという中間の状態に、多くの方が置かれています。

同じ調査で、定年に向けた会社との相談に不満であると答えた方にその理由を尋ねると、相談と言っても形式的で内容がおざなりだったからが41.2%、会社が私の貢献をほとんど認めていないことがわかったからが31.5%、希望がほとんど受け入れられなかったからが26.8%となっています。さらに、相談が形式的だったと答えた方に何を期待していたかを尋ねた設問では、定年後どう貢献して欲しいのか会社の意見を聞かせて欲しかったが48.6%、まだ会社の役に立てると思うので信頼して重要な仕事を任せて欲しかったが22.4%でした。求めていたのは待遇の上積みだけではなく、役割の見通しだったということです。

再雇用のこれからに選べる4つの道

この先の進み方は、大きく4つに分かれます。辞めるか続けるかの二択で考えると行き止まりに見えますが、契約の形と今の勤務先との関係を分けて並べると、間にある道が見えてきます。

選べる道契約の形役割の決まり方今の勤務先
再雇用を続ける雇用(有期契約の更新)会社が用意した枠のなかで決まる在籍したまま
辞めて他社へ再就職する雇用(新しい会社と)採用時の条件として決まる離れる
再雇用と並行して社外の役割を持つ雇用に業務委託を足す相手企業と話し合って決める在籍したまま
任期満了後に顧問へ移る業務委託(複数社とも結べる)相手企業と話し合って決める任期まで在籍
再雇用のこれからに選べる4つの道

再雇用を続ける道は、収入と保障が読める安心感があります。あわせて押さえておきたいのは、役割を決めるのは会社の制度であり、交渉で動かせる範囲は限られるという点です。他社へ再就職する道は役割を選び直せますが、雇用である以上、任される範囲は採用時の条件として決まります。決裁の側にいた方ほど、権限の持ち方がどう変わるのかを事前に確かめておく必要があります。

3つ目が、再雇用を続けながら社外にも役割を持つ道です。今の収入と保障を維持したまま、社外の企業と業務委託で関わります。判断を任される場を社外に作れるため、社内の役割が変わったことで生まれた空白を埋めやすくなります。今の勤務先を離れるかどうかを決める前に、社外からどう評価されるかを確かめられる点も、この道の実際的な利点です。

4つ目が、再雇用の任期が終わったところで顧問へ移る道です。ここで見ておきたいのは、社内に業務委託の受け皿を期待しにくいという事実です。令和7年高年齢者雇用状況等報告では、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%で、そのうち業務委託契約などの創業支援等措置を導入している企業は132社、割合にして0.1%にとどまります。任期の先にある道は、社外に自分で用意しておくものだと捉えたほうが確かです。

辞めなくても始められる並行の道

在籍したまま社外の役割を持つときは、勤務先の規定を先に確認します。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、裁判例を踏まえれば原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当であるとしています。同時に、企業が制限できる場合として次の4つを挙げています。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏洩する場合
  • 競業により自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

実務でつまずきやすいのは3つ目です。勤務先と同じ市場を相手にする企業の顧問を引き受けると、競業にあたる可能性が出てきます。取引先や仕入先を支援する場合も、立場が交差しないかを見ておく必要があります。同じガイドラインは、働く側が職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要だとしています。判断に迷う関わり方は、引き受ける前に人事へ相談しておくと確実です。

  1. 就業規則で副業・兼業の可否と届出の手順を確認する
  2. 勤務先と競合しない業界・領域を、あらかじめ自分で線引きする
  3. これまでの実務経験と人脈を棚卸しし、提供できる価値を言葉にする
  4. 顧問を探す企業とつながる場にプロフィールを登録する
  5. 届いた相談ごとに、関われる範囲と条件をすり合わせる
  6. 引き受ける前に、勤務先へ規定どおりの届出を行う

社外で請われる立場が意欲に与えるもの

顧問は、企業と業務委託契約を結び、これまでの実務で培った知見と人脈を提供する立場です。雇用ではないため、どの企業とどこまで関わるかを自分で決められます。再雇用の枠のなかでは役割が会社から示されるのに対し、社外では企業のほうから力を貸してほしいと請われる関係が成り立ちます。この立場の違いが、日々の手応えを大きく変えます。

特に営業を強化したい企業にとって、決裁者クラスとのつながりや、商談を前に進めてきた経験は、社内では簡単に補えないものです。求められる経歴は営業部門に限りません。購買や経営、事業開発などで決裁に関わってきた経験は、相手企業のどの役職者にどう届けばよいかを見極める力につながります。再雇用で手放したように見える資産は、社外ではそのまま価値として扱われます。商談のために足を運ぶことをいとわない方であれば、活躍の場はさらに広がります。若手だけでは踏み込みにくい相手にも、経験を重ねてきた方であれば落ち着いて向き合えます。その落ち着きと判断力は、60代だからこそ提供できる価値です。

  • 役員や決裁者クラスとの人脈と、その相手への届き方の勘所
  • 商談や交渉を前に進め、成約まで運んできた実務経験
  • 組織を動かし、人を育ててきたマネジメントの経験
  • 業界の構造や、意思決定がどう進むかに対する理解

顧問ダイレクトは、経験と人脈を持つ営業顧問と、営業を強化したい企業を直接つなぐマッチングサービスです。プロフィールを登録しておくと、条件に合う企業からオファーが届きます。再雇用で在籍したまま登録し、どんな企業から求められるのかを実際のオファーで確かめてから、次をどうするか決めることもできます。

顧問という道に向いている方・向いていない方

業務委託を中心とする顧問は、誰にでも同じように向くわけではありません。先に向き不向きを知っておくと、始めてからのずれを避けられます。

  • 自分の判断で動くことを楽しめ、経営者と対等に議論できる方は、この立場で力を発揮できます。
  • 特定の業界で決裁者クラスと深くつながっている方は、その一点だけでも企業から求められます。
  • 商談のために現場へ足を運ぶことをいとわない方は、企業が期待する一貫した支援とかみ合います。
  • 組織を率いてきた方は、顧問先の若手に判断の基準を伝える役割でも価値を出せます。

一方で、決められた役割のなかで安定して働きたい方には、成果と責任を自分で負う業務委託は負担に感じられることがあります。過去の役職の肩書きだけで価値を示そうとする方や、商談に足を運ぶ意思がない方には、企業が期待する関わりとかみ合いにくくなります。収入が安定するまでに時間がかかる点も、始める前に見ておきたい部分です。迷ったら、再雇用を続けたまま一社の小さな関わりから始めて、手応えを確かめるとよいでしょう。

よくあるご質問

再雇用で給料はどれくらい下がりますか。

労働政策研究・研修機構の60代の雇用・生活調査では、定年後に再雇用などで雇用が継続された男性の89.8%が賃金額は減ったと答えています。減少幅は41%から50%が25.5%で最も多く、4割以上減ったと答えた方は合わせて48.7%でした。下がり幅は企業の制度や職務によって異なります。

再雇用を辞めるとき、失業保険は受け取れますか。

65歳になる前に離職した場合は、雇用保険の基本手当の対象になります。離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることなどが要件で、所定給付日数は離職時の年齢・被保険者期間・離職理由に応じて90日から360日の範囲で決まります。65歳以降に離職した場合は高年齢求職者給付金となり、被保険者であった期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分が一時金として支給されます。金額と日数は個別に決まるため、ハローワークで確認してください。

再雇用で働きながら社外の顧問を務めることはできますか。

勤務先の就業規則によります。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、裁判例を踏まえれば原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当であるとしています。ただし、労務提供上の支障、業務上の秘密の漏洩、競業による自社の利益の侵害、自社の名誉や信用を損なう行為にあたる場合は制限され得ます。特に勤務先と競合する企業への関与は避け、引き受ける前に規定どおりの届出を行ってください。

嘱託社員と再雇用は何が違うのですか。

再雇用は、定年でいったん契約を終えて結び直す仕組みの呼び方で、嘱託はそのときの雇用形態の呼び方の一つです。法律に嘱託という区分はなく、会社によって契約社員などと呼ばれます。60代の雇用・生活調査では、定年到達直後に働いていた男性の雇用形態は正社員が37.0%、嘱託が26.1%、契約社員が18.4%でした。呼び方が違っても、期間の定めのある契約を更新しながら働く形である点は共通しています。

再雇用の任期が終わった後も働き続けられますか。

70歳までの就業確保措置は努力義務で、令和7年高年齢者雇用状況等報告では実施済みの企業は34.8%です。そのうち業務委託契約などの創業支援等措置を導入している企業は132社、割合にして0.1%にとどまります。社内に受け皿があるとは限らないため、任期のうちから社外の関わりを用意しておくと選択肢を保てます。

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