営業顧問の費用|紹介会社経由と直接契約で何が変わるか
営業顧問の費用は、紹介会社を通すか顧問本人と直接契約するかで、金額だけでなく構造が変わります。
企業が支払う額と顧問本人が受け取る報酬の差は、企業が顧問に何を期待するか、顧問がどこまで関われるかにも影響します。
この記事では、顧問紹介事業で法人営業を担当してきた実務者への取材をもとに、契約経路による費用の違いと、その違いが顧問との協力関係に何をもたらすかを、企業のご担当者に向けて整理します。

営業顧問の費用は、顧問本人の報酬だけで決まらない
紹介会社を通じて営業顧問と契約する場合、企業が支払う金額には、顧問本人への報酬と、紹介会社のサービスに対する費用の両方が含まれます。候補者の選定、契約条件の調整、稼働が始まったあとの状況確認など、紹介会社が担う仕事があるためです。
取材で挙がった料金構造を単純にした例で、差を見てみます。初期費用30万円、企業の月額支払い30万円、そのうち顧問本人への報酬が月10万円という条件で、3か月契約した場合です。
| 項目 | 紹介会社経由 | 直接契約 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 30万円 | 候補者を探すサービスの利用料など |
| 月額の支払い | 30万円 | 10万円 |
| 3か月の支払総額 | 120万円 | 30万円と、候補者を探す費用 |
| うち顧問本人が受け取る報酬 | 30万円 | 30万円 |
企業が負担する120万円と、顧問本人が受け取る30万円の間には、90万円の開きがあります。紹介会社の運営費用や担当者の人件費が含まれるため、差額がそのまま利益になるわけではありません。ただ、企業が顧問に寄せる期待の大きさは、顧問の報酬額ではなく、この支払総額に比例します。
直接契約で顧問本人と同じ月10万円の報酬に合意できれば、顧問への支払いは3か月で30万円です。候補者の選定や活動の調整は自社で進めることになりますが、継続中に仲介費用がかからないぶん、費用の構造そのものが変わります。
金額はいずれも、違いを説明するための税抜きの計算例です。現在の相場や特定のサービスの料金ではなく、交通費などの実費も含めていません。この例の初期費用と月額は、公開情報で示されている相場(初期費用10万円から30万円程度、月額10万円から50万円程度)の範囲内に置いています。契約形態別の相場は、営業顧問の相場で整理しています。
費用が重いほど、期待は紹介の件数に集まる
取材では、紹介会社経由で費用負担が大きい企業ほど、「月2回の活動なら、2回とも企業を紹介してもらうアポイントにしてほしい」と求める傾向があったといいます。
高い費用を払いながら打ち合わせだけが続き、誰にも会えない状態を避けたいのは当然です。営業支援を求めて契約したのなら、具体的な商談につながることを期待するのは自然なことです。
一方で、営業顧問がご紹介に動くには、準備の時間が要ります。営業資料を読み、類似の事例を確かめ、自分の知る企業のどの部署に合うかを考えます。紹介先の担当者が何を課題にしていて、その相手にどう説明するかまで、企業とすり合わせる時間も要ります。
この準備の時間まで「紹介のなかった回」と数えてしまうと、顧問は商材や提案を十分に理解しないまま、アポイントを求められることになります。結果として、会えても話が進まないご紹介が増えます。
費用を抑える意味は、ここにもあります。企業側の負担が軽くなれば、活動のすべてを新規の紹介に充てようとせず、紹介の質を高めるための相談に時間を使う判断がしやすくなります。
経営層からのご紹介は商談の入口で、受注はその先にある
営業顧問のなかには、大手企業の役員や会長・社長との関係を持つ方もいます。商材を使う部署に直接の接点がなくても、経営層から担当部署へつないでもらう経路が取れます。
ただ、話を聞いてもらえることと、その企業がすぐに購入を決めることは別です。ご紹介のあとには、課題の確認、提案の調整、相手側の検討を進める過程があります。実務者の経験でも、1社の開拓に半年から1年ほどかかった案件がありました。
この期間に高い月額費用がかかり続けると、企業は「まだ受注していない」という状態に耐えにくくなります。関係ができ、商談が進んでいても、毎月の支払いに見合う結果が出ていないと感じてしまうためです。
紹介会社経由の営業顧問が、取引規模の大きい商材で検討されやすかったという話の背景も、ここにあります。顧問がどの企業を紹介できるかだけでなく、そのご紹介から受注までを自社がどう進めるかが、契約が続くかどうかを左右します。
直接契約で生まれた差額の使い方
直接契約で企業の負担を抑えられたとき、顧問本人への報酬まで下げる必要はありません。紹介会社経由の総額と比べて余裕があるなら、その一部を顧問の報酬に充て、関わってもらう範囲を広げる相談ができます。
たとえば、初回商談への同席、商談の終盤で顧問自身の言葉による推薦、紹介先の検討状況の確認といった協力です。実際に、Slackの案件チャンネルに顧問を招き、先方へ送るメールの文面や相手のニーズについて日常的に相談している企業もあります。
ご紹介のあとも相手の状況が分かれば、企業は提案の進め方を相談できます。顧問も、自分が紹介した案件がどう進んでいるかを把握しながら関われます。見極めからご紹介、商談同席、クロージングまで一貫して関わる形に近づきます。
ただし、こうした日常の相談は、紹介会社経由でも基本の契約に含まれている場合があります。直接契約にすれば自動的に対応してもらえるものではありません。何をお願いするか、どの程度の頻度で相談したいか、どこまでが報酬に含まれるかを、顧問本人と最初に決めておきます。
契約が長く続くほど、経路の差は大きくなる
相性のよい顧問との契約が1年、2年と続き、さらに長期になった例もあります。紹介先の開拓が進み、顧問の側でも商材への理解が深まると、新しい案件についても相談しやすくなるためです。
その関係を長く続けるなら、継続中に仲介費用が発生し続けるかどうかは大きな違いになります。最初の数か月の金額だけでなく、その顧問と協力し続ける期間全体の費用として考えます。
また、紹介会社経由で出会った顧問を、あとから自由に直接契約へ切り替えられるとは考えないほうが確実です。切り替えに別途費用が生じる契約もあります。実際の条件は契約によるため、長く関わってもらいたい場合は最初に確認しておきます。
最初から直接契約を前提に出会えば、継続する際の条件を企業と顧問の間で決められます。
直接契約では、期待の調整を自社で担う
直接契約で企業側が意識したいのは、紹介会社の担当者が担っていた期待の調整です。
顧問が「紹介できます」と説明したとき、企業が「そのまま受注につながる」と受け取っていないか。月に数回の活動という条件で、顧問と企業が同じ活動内容を思い浮かべているか。こうしたずれを契約前に確かめます。
実際に、ご紹介そのものは実現したのに、企業がすぐに受注できると期待していたために満足につながらなかったケースがありました。費用が安くなっても、このずれは残ります。
面談では、紹介できる経路に加えて、商談同席や紹介後の相談まで、どんな協力をお願いしたいかを話します。顧問にも、対応できることと難しいことを説明してもらいます。具体的な確認の仕方は、営業顧問の選び方で解説しています。
まとめ
営業顧問の費用を契約経路で比べるときの要点を整理します。
- 紹介会社経由の支払額には、顧問本人の報酬と紹介会社の費用の両方が含まれる。企業の期待の大きさは支払総額に比例する
- 費用が重いほど、期待は紹介の件数に集まり、顧問が商材を理解する時間が削られる
- 経営層からのご紹介は商談の入口で、受注までには半年から1年かかる案件もある
- 直接契約で生まれた差額は、顧問の報酬や商談同席、日常の相談に回せる。範囲と頻度は顧問本人と最初に決める
- 契約が長く続くほど、継続中の仲介費用の有無が効いてくる。切り替えの条件は最初に確認する
直接契約の利点は、企業の負担を抑えながら、顧問本人への報酬や活動の中身に費用を回せることです。その余地を、ご紹介の準備から商談後のフォローまで一緒に取り組める関係づくりに使ってください。
契約形態別の相場は営業顧問の相場、契約後の進め方は営業顧問の活用方法で解説しています。経験と人脈を持つ顧問と、営業を強化したい企業を直接つなぐ形のサービスもあります。顧問ダイレクトもその一つで、企業向けには現在、先行登録を受け付けています。
よくあるご質問
紹介会社経由と直接契約は、どちらが安いですか。
顧問本人への報酬が同じなら、継続中の仲介費用がかからない直接契約のほうが総額は抑えられます。ただし、候補者の選定や条件の調整、稼働後の期待の調整は自社で担うことになります。金額の差だけでなく、その手間を自社で引き受けられるかで判断してください。
直接契約にすると、顧問の報酬は下がりますか。
下がりません。直接契約で減るのは、紹介会社に支払っていた仲介費用の部分です。顧問本人の報酬が同じ月10万円なら、記事中の計算例では企業の支払総額は3か月で120万円から30万円(候補者を探す費用は別)に下がり、顧問本人が受け取る30万円は変わりません。減った分の一部を顧問の報酬に上乗せして、商談同席や日常の相談まで関わってもらう範囲を広げる相談もできます。その場合でも、支払総額は紹介会社経由より抑えられます。
紹介会社で出会った顧問と、あとから直接契約できますか。
契約によります。切り替えに別途費用が生じる契約もあります。長く関わってもらう可能性があるなら、契約前に切り替えの条件を確認してください。
直接契約で、いちばん気をつけることは何ですか。
期待の調整です。「紹介できます」という説明をそのまま受注の見込みとして受け取らず、月に数回の活動で何をするのかを、顧問と同じ言葉で確認します。紹介会社の担当者が担っていた役割を、自社が引き受けることになります。
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