営業顧問の活用方法|キックオフ・商談同席・日常の連携で決めること
営業顧問に力を発揮してもらうには、契約直後のキックオフで商材と対象企業への理解をそろえ、その後も商談の進捗を共有し続けることが要になります。
顧問が適切な部署を見極め、紹介先に説明し、商談で後押しするには、企業側からの情報が必要だからです。
この記事では、顧問紹介事業で法人営業を担当してきた実務者への取材をもとに、キックオフの準備から商談同席、商談後の連携までを、企業のご担当者に向けて整理します。

キックオフの到達点は「紹介する理由を説明できる状態」
キックオフの到達点は、営業資料を読んでもらうことではありません。「誰に、どんな課題を切り口に、なぜこの商材を紹介するのか」を、顧問と企業の双方が同じ言葉で説明できる状態にすることです。
ここに至るまでの準備と、活動が始まったあとの連携を順に見ていきます。取材で挙がった活動例は、受注への効果が検証された手法ではなく、営業担当者と顧問が協力しやすかった実務例として紹介します。
営業資料と類似事例をセットで共有する
取材で特に重視されていたのが、営業資料の読み込みと、アプローチ先に近い企業での事例の確認でした。
機能やサービス内容に加えて、「どんな企業の、どの部署で、何を解決したのか」が分かると、顧問は自分の知る企業や担当者と結びつけて考えられます。資料を送るだけで終えず、どの部分が今回の対象企業に関係するのかを一緒に確認します。
| 情報 | 共有したい内容 |
|---|---|
| 営業資料 | 商材の内容、価格帯、導入条件、強み、対応できることとできないこと |
| 類似事例 | 導入先の業種・規模・部署、導入前の課題、選ばれた理由、確認できた変化 |
| 対象企業 | アプローチしたい理由、想定する利用部署、すでに把握している情報 |
| 提案の仮説 | 相手のどの課題に対して、何を提案できると考えているか |
| 既存の接点 | 自社がすでに接触している部署、過去の提案の経緯 |
| 営業体制 | 社内の担当者、顧問が相談する窓口、商談後の進め方 |
事例は数を多く渡すより、今回の提案との共通点を説明することが重要です。業種が同じでも課題が異なる場合もあれば、業種が違っても部署の業務が似ている場合もあります。
近い事例がないときは、実績と仮説を分けて伝えます。顧問が紹介先に説明する際に、どこまでが実証できている話なのかが曖昧にならないようにするためです。
紹介先と、紹介する理由を一緒に具体化する
企業側が情報を渡したら、対象企業のどの部署・役職の人に、どう相談するのがよいかを顧問に考えてもらいます。
適切な相手が当初の想定と違うこともあります。「この課題なら別の部署が担当している」「その担当者にはこの事例のほうが伝わる」といった意見が顧問から出たら、理由を確認しながら提案を組み立て直します。
キックオフの最後には、次の6点を文章で残しておくと、活動に移りやすくなります。
- 対象企業:どの企業にアプローチするか
- 相談相手:最初に相談する人と、つないでもらいたい部署・役割
- 課題:実際に把握していることと、初回商談で確かめたい仮説
- 紹介理由:その相手に、この商材を紹介する意味
- 初回商談の目的:何を確認し、何を相談する場にするか
- 次の行動:誰が何を準備し、いつ相談し直すか
たとえば、設備点検サービスを提案するケース(説明用の例です)なら、「まず工場の保全責任者に、点検記録の作成と共有にどの程度の負担があるかを聞く」と具体化できます。初回から導入を決めてもらう想定と、課題の有無を確かめる想定では、用意する資料も話し方も変わります。
商談同席では、顧問にお願いする役割を事前に決める
取材では、初回商談でのアイスブレイクや、終盤での推薦が協力例として挙がりました。顧問が双方を知っていれば、紹介の背景を説明したり、依頼企業の良さを自分の言葉で伝えたりできます。
ただ同席をお願いするだけでは、顧問もどの場面で何を話せばよいか分かりません。事前に商談の目的と流れを共有し、関わり方を決めておきます。
| 商談の場面 | 顧問と相談しておきたい役割 |
|---|---|
| 冒頭 | 双方の紹介、今回つないだ背景の説明、話しやすい雰囲気づくり |
| 課題の確認 | 相手の組織や業務への理解を踏まえ、確認する観点を補う |
| 提案中 | 相手に伝わりにくい点や、補足したほうがよい点を足す |
| 終盤 | 顧問自身が納得している商材の良さや、検討する意味を伝える |
| 商談後 | 相手の反応を振り返り、次に必要な情報や働きかけを相談する |
企業側は商材の説明、提案資料、質問への回答を用意し、顧問と相談しながら受注までの営業活動を進めます。顧問が相手と親しいからといって、その後の提案やフォローまで自然に進むとは考えないことが大切です。
推薦は、顧問本人が納得している内容に限ります。紹介先との関係を尊重し、事実以上の説明や、相手の検討を無視した後押しは求めません。
商談後も、顧問に状況を共有し続ける
一度ご紹介が実現すると、企業側の営業担当者だけで連絡を進め、顧問には結果が出るまで報告しない状態になりがちです。しかし、途中の状況が分からなければ、顧問も適切なタイミングで動けません。
紹介先の検討状況を個別に聞いてもらう、会食を設定するといった協力の例もあります。ただし、企業と顧問がそれぞれ別の内容で相手に連絡すると混乱を招きます。誰から、何を、いつ確認するかを決めておきます。
相手から返信がない場合も、すぐに顧問から催促してもらうとは限りません。提案に追加情報が必要なのか、先方の検討時期を待つべきなのか、次に確認する論点を一緒に考えます。
会食も、開けば成果につながるというものではありません。何を話す機会にするのか、誰が参加するのか、費用をどう扱うのかを事前に相談し、紹介先の意向も確認します。
Slackなどで日常の相談をするなら、範囲を合意する
実際に、顧問をSlackの案件チャンネルに招き、メールの文面や相手のニーズについて相談している企業もあります。
案件の状況がその都度共有されていれば、顧問も相談の背景を理解できます。「この文面で送ろうと思いますが、相手の関心に合いそうでしょうか」「先方からこの質問が出ましたが、別部署の確認が必要でしょうか」といった相談です。
相談するときは、相手の反応、企業側の考え、顧問に判断してほしいことを短くまとめます。資料やメッセージを大量に送るだけでは、何に答えてほしいのかが伝わりません。相談文の例です(説明用の例です)。
希望する期限は伝えつつ、対応できる時間や頻度は顧問と合意します。Slackに参加してもらうことを、いつでも即答してもらえる約束と受け取らないようにします。
「月2回」の契約だけでは決まらないことを確認する
同じ月2回の活動でも、定例の打ち合わせが中心なのか、商談同席も含むのか、日常の相談もできるのかで、関わり方は変わります。
紹介会社経由でも、日常の相談が基本の契約に含まれる場合はあります。一方、直接契約でも、本人との合意がなければ期待どおりの対応を受けられるとは限りません。契約経路を問わず、次の項目を具体的に確認します。
| 項目 | 合意しておきたいこと |
|---|---|
| 主な活動 | 紹介の準備、ご紹介、商談同席、提案への助言、検討状況の確認の範囲 |
| 日常相談 | 文面の確認や資料への助言を含むか。頻度や量はどの程度か |
| 連絡手段 | Slack、メールなどの窓口と、共有する情報の範囲 |
| 返信 | 対応しやすい時間、返信の目安、急ぎの場合の相談方法 |
| 訪問・会食 | 調整の方法、実費の扱い、通常の活動回数に含めるか |
| 範囲が広がる場合 | 報酬や活動頻度を見直すタイミング |
顧問の判断まで借りる依頼の仕方
取材では、「とりあえず人を紹介してほしい」という依頼では、顧問への敬意が伝わりにくいという話がありました。
顧問は人脈に加えて、組織の動き方や仕事の進め方についての経験を持っています。「今回の紹介先にはどう相談するのがよいか」「この提案をどう受け止めると思うか」と、その判断にも協力を求める姿勢が重要です。
顧問の意見をすべて受け入れるという意味ではありません。意見が違うときも理由を伝え、企業側の事情と顧問の見立てをすり合わせます。期待するご紹介と活動を明確にしたうえで、進め方を一緒に考える関係をつくります。
まとめ
営業顧問との活動を進めるときの要点を整理します。
- キックオフの到達点は、誰に、どんな課題を切り口に、なぜ紹介するのかを双方が説明できる状態
- 営業資料と類似事例はセットで共有し、今回の提案との共通点を説明する
- 商談同席では、冒頭・課題確認・提案中・終盤・商談後のどこで何を話してもらうかを事前に決める
- ご紹介のあとも状況を共有し、誰から何をいつ確認するかを決める
- 日常の相談は範囲と頻度を合意する。「月2回」だけでは活動の中身は決まらない
次のキックオフでは、営業資料と類似事例をそろえ、紹介先、紹介理由、初回商談の目的を具体化してください。活動が始まったあとも進捗を共有し、顧問の経験を借りながら提案を進めていきます。
候補者の見極めは営業顧問の選び方、活動の振り返りは営業顧問の成果評価と契約更新で解説しています。経験と人脈を持つ顧問と、営業を強化したい企業を直接つなぐ形のサービスもあります。顧問ダイレクトもその一つで、企業向けには現在、先行登録を受け付けています。
よくあるご質問
キックオフで、最低限そろえておくものは何ですか。
営業資料と、アプローチ先に近い企業での類似事例の2つです。あわせて、対象企業を選んだ理由と、想定している利用部署、すでに把握している情報を伝えます。事例は数より、今回の提案との共通点を説明できることが重要です。
商談同席は、毎回お願いしたほうがよいですか。
一律に決める必要はありません。初回商談の冒頭や、検討が進んだ段階での推薦など、顧問が双方を知っていることが効く場面で同席をお願いします。同席の回数は活動範囲と報酬に関わるため、契約時に想定を合意しておきます。
商談後の連絡は、企業と顧問のどちらから行うべきですか。
案件ごとに決めます。企業と顧問がそれぞれ別の内容で連絡すると相手が混乱するため、誰から、何を、いつ確認するかを商談後に相談してから動きます。返信がないときも、すぐに催促するのではなく、次に確認する論点を一緒に考えます。
Slackで日常的に相談してもよいですか。
本人と合意できれば有効な方法です。ただし、文面の確認や資料への助言をどこまで含むか、頻度や返信の目安をどうするかを先に決めます。参加してもらうことを、いつでも即答してもらえる約束と受け取らないようにしてください。
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